2023年度 第2回 天然アユ資源の再生に取り組む会

◆議事概要

  1. 日 時:2023年8月8日(火)13:30~15:00
  2. 場 所:電源開発㈱天竜川事務所 1階会議室
  3. 議 案:
    1. 開会挨拶(平野会長)
    2. 年間スケジュールの確認
    3. 今年度の産卵床造成方法等について(高橋アドバイザー)
    4. その他(国土交通省様より話題提供)
    5. 第2回取り組む会の講評(平野会長)
    6. 次回開催の日程調整(事務局)


1.開会挨拶

    (平野会⾧)
  • 本日は、暑い中、お忙しい中、ご参加頂きありがとうございます。取り組む会は2回目となります。一年は早いもので産卵床造成位置を決める時期となりました。昨年は産卵床造成により大きな成果が得られました。今年も皆さんから闊達なご意見を頂きながら、成果を得られるよう良い造成場所を選定したいと思います。本日は、よろしくお願い致します。

2.年間スケジュールの確認

    (事務局、喜多村副会長)
  • 年間スケジュールは、配布の資料2に示している。
  • 秋葉第2発電所の運転にともない解禁日の直前、5/24〜5/25に雲名橋上流側の300m範囲において、河床耕耘試験を実施した。バックホウにより大きな礫を除き、その後ブルドーザーのリッパにより試験区全体の表層の礫層に攪拌を与えた。その後、周辺の比較的大きな礫を利用して、バックホウによって堰や水制により流れに変化を与えた。堰は左右の高さを変えて流向を変える工夫を行った。しかし、完成直後に梅雨前線の通過やその後も洪水が続き、残念ながら形成した河道は大きく変化してしまった。
  • 流量が逓減したのちの調査では、試験区の流路の一部ではアユのハミ跡も観察できたが、流路全体では劣化した付着藻類が多く繁茂した状況が見られた。

  • (高橋アドバイザー)
  • 河床耕耘後に付着藻類が復活するのに2週間程度必要なため、6/1のアユ釣り解禁に合わせるにはもう少し早い時期での河床耕耘が望ましい。また、耕耘後1ヶ月間程度は効果が続くため、その期間内にアユが定着すれば藻類の繁茂が抑えられる。

  • (有川アドバイザー)
  • 今回の耕耘地形が維持されていた場合、流れが緩すぎて川底に泥が溜まる可能性があった。今日の午前に耕耘箇所を見てきたが、造成直後の大出水で地形が変化しており、瀬の縦断勾配に変化が付いていた。特に瀬の上流部の地形が良くなったと感じた。耕耘した瀬がアユ漁場として機能するには、アユが好む川底の地形や水の流れを創出する必要がある。その具体的なイメージを関係者で共有しながら作業することが今後の課題である。

  • (喜多村副会長)
  • 河床耕耘は、解禁前の限られた時間や区間となり、作業を実施するうえで、降水や河川流量等、人為的には対応できない制約条件もある。このため、河床耕耘の完成形に対して、アドバイザー側、施工側、さらに河川利用者の間で、お互いにコンセンサスを取ったうえで実施していく必要があると思う。

    (谷高事務局長)
  • 河床耕耘試験の後、この場所で釣りをする人は見られなかった。今回の河床耕耘の良し悪しは検証されていない。

3.今年度の産卵床造成方法等について

    (高橋アドバイザー)
  • 産卵床の造成位置は、昨年とほぼ同じ位置の砂州とする。
  • 産卵床への親魚の放流は効果があるが、親魚の遺伝的多様性を確保できないと、長期的にはマイナスになる危険性がある。
  • 天竜川では早生まれの減耗率が高い。早生まれが生き残る条件が整うと大型の稚アユの遡上が期待できる。また、産卵床造成時期を遅くした場合、生存率が良好な遅生まれの添加に寄与できる。この場合、資源水準が低下した際でも最低限の資源水準を維持できる。
  • 今年の産卵床造成は昨年と同様に10月下旬とする。
  • 今回の産卵床の候補地では、水路を横長形状とすると流速が速くなり効果が得られやすい。

  • (質問1)
  • 治水のために河道掘削をする場合、何を注意し、工夫するべきか?
  • →自然な蛇行や水みちなど、メリハリある河道が望ましい。

    (質問2)
  • 2007年、2016年にアユの流下量が多いのはなぜ?
  • →全国的に流下量が多かった。原因ははっきりしていない。

4.その他

    (国土交通省)
  • 地球温暖化に伴い、日本近海の海面水温は、40年に比べて高くなっており、降水量も6.5%~11%増加している。このため気候変動を踏まえ、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う流域治水の取り組みが必要である。
  • 天竜川の自然環境の保全として、ワンドの調査を行っている。それぞれのワンドに対して現況と保全方針を整理している。

  • (質問1)
  • ワンドがどの程度アユに影響しているか?
  • →今後、調査が必要であるが、ワンドによる自然の力を生かすことが重要である。

    (質問2)
  • 流域治水の方向性は、欧州のライン川で実施されている「Room for the River(河川の空間創出)」の方向性と共通点がある。ライン川では、河道内の掘削により洪水時は遊水機能を持たせ、平常時は自然空間となるようにしている。河川の両側が開発されている天竜川では、治水空間を創出するのは難しいものの、高水域やワンドの拡幅は治水効果の向上には欠かせないと思う。
  • →ワンドを保全しながら、極力、河川の流域治水の効果を高めていきたい。

5.第2回取り組む会の講評

    (平野会長)
  • 本日は、長い時間ありがとうございました。国土交通省様の調査資料からもアユにとって有効なワンドがたくさんあることがわかりました。引き続き皆様からいろいろとご協力、ご支援を得ながら、この会を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

6.次回開催の日程調整

    (事務局)
  • 次回の取り組む会は、10月下旬で調整する。

【配布資料】

  • 資料 1 天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会 名簿
  • 資料 2 2022年度、2023年度「天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会」年間スケジュール
  • 資料 3 2023年度天竜川河床耕耘試験(雲名橋上流)
  • 資料 4 産卵場造成:その寄与度の検討
  • 資料 5 第2回天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会 情報提供

【出席者】

会長 平野國行 天竜川漁協 代表理事組合長
副会長 喜多村雄一 電源開発(株) 茅ヶ崎研究所 専任部長
メンバー 中谷 勲 天竜川漁協 理事・総務委員長
鈴木長之 天竜川漁協 理事・業務委員長
平野利明 天竜川漁協 理事・総務副委員長
野澤利治 天竜川漁協 理事・業務副委員長
谷髙弘記 天竜川漁協 事務局長
名久井孝史 国土交通省河川国道事務所 事務所長
田中裕太 国土交通省河川国道事務所 流域治水課長
渡邊菜月 国土交通省河川国道事務所 流域治水課メンバー
油田健一 電源開発(株) 中部支店支店長代理
鈴木紀光 電源開発(株) 中部支店用地グループリーダー
市川雅典 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー
赤崎春奈 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー
茂田井優那 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー
森山貴彦 電源開発(株) 佐久間電力所長代理
アドバイザー 高橋勇夫 たかはし河川生物調査事務所 代表
有川 崇 近自然河川研究所 代表
記  録 小林英次 (株)J-POWERビジネスサービス 社会環境部 部長代理
石井健一 (株)J-POWERビジネスサービス 社会環境部 メンバー