2026年度 第1回 天然アユ資源の再生に取り組む会

◆議事概要

  1. 日 時:2026年5月13日(水) 10:00~12:00
  2. 場 所:雲名橋付近 左岸側
  3. 議 案:
    1. 開会挨拶(鈴木会長)
    2. 年間スケジュールの確認(事務局)
    3. 今年度の河床耕耘作業の確認(喜多村アドバイザー)
    4. アユの遡上状況について(天竜川漁協)
    5. 第1回取り組む会の講評(鈴木会長)


1.開会挨拶

    (鈴木会長)
  • 本日は国土交通省様、静岡県様にご協力を得て、天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会を開催することができました。先般、増水した中で河床耕耘作業を実施できるか心配していましたが、水位の回復が早く、濁りは多少ありましたが、作業ができるということで昨日、一昨日と喜多村アドバイザー、植松・鈴木組さんの協力を得まして作業を実施していただきました。思った以上の成果が得られたと思いますので、アユ釣りの解禁に向けて釣り人の皆さんが喜んでくれる河川づくりができると思います。ありがとうございます。本日もよろしくお願いいたします。

2.年間スケジュールの確認

    (事務局)
  • 2025年度2月に実施された2025年度第3回天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会ではNEXUS佐久間計画に関わる現地視察を実施した。NEXUS佐久間プロジェクトの概要説明を受け、NEXUS準備工事の実施状況の視察や取水塔の改造内容を実物を見ながら確認した。
  • 今回、河床耕耘作業の実施箇所確認を行う。河床耕耘作業の目的としては河床耕耘により締め固まった河床の砂礫を反転し、砂礫背面を露出させる。これにより新しい礫表面を出現させる効果や、河床の礫に付着するシルトや糸状緑藻類を洗浄し、アユの餌となる珪藻、藍藻類を更新し、アユの生息しやすい環境回復の方法を確認する。
  • 次回は8月に実施予定であり、詳細は決まり次第ご連絡する。

3.今年度の河床耕耘作業の確認

    (喜多村アドバイザー)
  • 河床耕耘の目的は、解禁前に劣化した付着藻類を剥離し、新鮮な藻類が成長できる環境を整えることによって、アユの生息環境を創出することである。
  • 今回の河床耕耘は、雲名橋上流側にある砂州300mのうち約200mを対象としている。
  • 当初、河床耕耘作業はブルドーザに取り付けたレイキを使用して実施する予定であったが、大きいサイズの礫が多く、この方法では上手く反転しなかった。このため、2台バックホウを使用して、河床材料をすくい上げながら反転させた。
  • 通常、河川作業では、上流部に堰をつくり、ドライな状態にしておこなうが、ドライ状態にすると河床の不陸が判断しにくく、今回は流水状態で作業した。このため、一時的に濁りが発生したが、昨日の作業のあと1日程度で、現在のように濁りは解消されている。
  • なお、流水状態で作業したことにより、耕耘すべき箇所が判断しやすく、これが作業時間の短縮などにつながった。
  • 河川右岸側は、砂州に沿った幅10m、長さ200mの区間を対象に河床の耕耘を実施した(右岸側の対岸は、耕耘を実施していない)。
  • 河川左岸側は砂州上流側から瀬の合流点より、下流40mまでの200mを対象にした。
  • 今年度は4月と5月に出水があったため、付着藻類の状況は「アカグサレ」にはなっていなかったが、緑藻類の繁茂が見られた。また、河床の状況として大きな礫の割合が多くなっており、小砂利と砂が少ないものの、礫間の濁質(シルト)は多くみられた。
  • 今年の河床は、大きな礫が多く、この大きな礫の隙間に新鮮な藻類が成長してくれればいいと思う。

  • (質疑1)
  • 天竜川漁協で友釣り大会を開催しているが、雲名橋下流よりも河床耕耘を実施している雲名橋上流の方がアユは釣れるようである。河床耕耘の効果が出ているのか教えてほしい。
  • →雲名橋下流は、安定河床の状態で、河床が固定化されているためよい河道条件ではない可能性がある。雲名橋上流は河床に手を入れているだけでなく、上流側からの土砂供給や有川アドバイザーが実施した秋葉ダム直下の改良により、土砂移動による河床変化により、河床の状態が良くなっているのではないか。

    (質疑2)
  • 河床の状態を確認したところ、良い形で河床に凹凸ができている。重機で作業をすると凹凸が作りにくいが、凹凸を作るという部分で工夫されたことがあれば教えていただきたい。
  • →今回、土木施工では実施しない方法でおこなったところ、河床材料が良かったこともあり、流れの変化のあるよい形で凹凸のある河床となった。 →是非とも今年のやり方をまとめていただき、今後は、今回の作業を基本にしながら、その年その年の河床状態に応じた工夫をしていくと良いと思う。

    (質疑3)
  • 雲名橋下流でも同様な作業を行うことで、河床耕耘の効果がすぐに確認できるのではないか。
  • →今回の試験地点、雲名橋上流は、国定公園内であることから、国土交通省、静岡県が天然アユ資源の再生に取り組む会の委員であることを前提に、天竜川漁協の事業の一環として作業を許可いただいて短期間で実施している。雲名橋下流も公園内であり、また、作業量も大きくなることが想定されるので、試験結果がよければ、国や県の事業の一環としておこなうのが良いのではないか。

    (質疑4)
  • 緑藻類は撹拌により剥離するとのことだが、剥離にはどの程度の流速が必要か。
  • →過去、電源開発(株)茅ヶ崎研究所へ、中部大学の村上先生とともに現地の礫を持ち込んで剥離実験を実施した(実験後、礫は元のところへ返却)。実験の結果、かなりの流速でないと緑藻類が剥離しないことが明らかとなった。一方で、細砂があるとこれが研磨剤となって緑藻類が剥離しやすいことも判明した。自然河川では砂礫が動くのと同時に細砂も移動して緑藻類が剥離するが、安定した河床ではこれが起こりにくい。このため、河床耕耘では、砂礫を反転させて藻類の付いていないきれいな面を露出させ、ここに新たな藻類を付着させる方法にしている。

4.その他

 ①アユの遡上状態について

    (天竜川漁協)
  • 今年度はアユの遡上が多い。この理由としては昨年遡上した魚や天竜川漁協で放流したアユが秋口に産卵したこと、産卵した時に出水がなく無事に孵化したためと考えている。また、海に流下した仔魚が餌にありつくことができて生残に繋がったことが影響しているのではないか。
  • 春先の異常渇水や今後の強い降雨や増水など、近年の異常気象による自然由来の影響はあるが、しっかりと生残して天竜川を生息場として育んでほしいと思う。

  • (質疑1)
  • 春先に渇水があり、この時期は例年よりも流量が低下したと思う。これがアユに与えた影響があれば教えてほしい。
  • →今年は鹿島橋地点で維持流量を下回るような日もあった。このため、遡上に影響が出ないか危惧していたが、少ない水ながらもよく遡上してきたという感覚はある。

5.第1回取り組む会の講評

    (鈴木会長)
  • 本日はありがとうございました。有川アドバイザーより一定評価をいただきました。次回は勉強会、10月に産卵床の造成が予定されています。去年の産卵床の造成は大成功でしたが、今年も成功するよう取り組んでいきたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

【出席者】

会 長 鈴木長之 天竜川漁協 代表理事組合長
副会長 油田健一 電源開発(株) 中部支店長代理(用地担当)
恩田千早 電源開発(株) 中部支店長代理(土木担当)
メンバー 平野國行 天竜川漁協 理事・総務委員長
野澤利治 天竜川漁協 理事・業務委員長
鈴木 榮 天竜川漁協 理事・総務副委員長
平野利明 天竜川漁協 理事・業務副委員長
谷髙弘記 天竜川漁協 事務局長(事務局)
生駒和昭 国土交通省 中部地方整備局 浜松河川国道事務所 流域治水課長
増田 傑 静岡経済産業部水産・海洋局水産資源課 資源増殖班長
鈴木紀光 電源開発(株) 中部支店用地グループリーダー(事務局)
荒巻亮二 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー(事務局)
三春凜佳 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー(事務局)
高島徳親 電源開発(株) 佐久間電力所長代理
アドバイザー 有川 崇 近自然河川研究所 代表
喜多村雄一 茅ヶ崎水域環境研究所 代表
オブザーバー 芥川 哲 国土交通省 中部地方整備局 浜松河川国道事務所 工務第一課長
記 録 石井健一 (株)J-POWERビジネスサービス エンジニアリング部 土木解析グループ