Q&A シンポジウム2017編

当日、会場で寄せられた質問をまとめました。TOPへ。

鮎の流下仔魚が12月に見られるようになったそうですが、その原因は何ですか?

天竜川だけではなく全国的に産卵期の遅れ、仔魚の流下期の遅れが観察されています。これは近年の温暖化の影響で、秋から冬にかけての気温の低下が遅くなっていることが水温の低下の遅れにつながり、ひいては産卵の遅れにつながっていると思われます。アユの産卵適温は15、16℃からもう少し低いくらいなのですが、水温低下が遅れるとそれだけ産卵ピークが遅れます。
通常、アユの産卵からふ化までの期間は、たとえば水温が15℃ぐらいの場合大体2週間で、これは天竜川の11月の後半ぐらいの水温です。これが12月になると10℃ぐらいまで下がり、産卵からふ化まで1カ月くらいかかります。そういったことで産卵期の遅れと水温の低下によるふ化までの期間の延長もあって、だらだらとふ化が続くという現象がが起きているのではないかと考えられます。
(高橋勇夫農学博士/たかはし河川生物調査事務所代表)

(たかはし河川生物調査事務所代表・高橋勇夫)