パネルディスカッションの中で、竹門パネリストが発言された、伏流水の役割は大切な指摘だと思います。
以前、鮭の産卵場と湧水の関係を読んだことがあります。水の濁りも指摘されましたが、これに対しても情報を共有する必要があるのではないでしょうか。
このことを、少し概念を拡げると湧水ということになり、つまり天竜川流域全体で地下水脈について考える必要があると考えています。
雨水をどれだけ土壌を通して地下滋養するかは技術的にはさまざまな方法があると思います。例を挙げると、人工林で密度管理をする間伐もその方法でありますし、そのためには国産材に付加価値をつけるための間伐材で作る住宅や室内の木装化なども合わせて考えていくべきではないでしょうか。
湧水については、ご質問にあるような山間部で涵養された地下水由来のものもありますが、河道に湧出する地下水には近傍ないし上流の河川水がしみ込んだ伏流水由来のものも多く存在します。
前者については、ご指摘のように、森林管理、冬水田んぼ、透水性舗装、遊水池造成などの流域スケールの地下水涵養対策が求められています。
いっぽう、後者については、河道内に河川水が浸透していきやすい空隙率(隙間)の大きな河床を増やす対策や、横断型の瀬によって浸透した伏流水が湧出しやすい砂州地形の形成を促す対策などが求められているのです。
(京都大学防災研究所水資源環境研究センター准教授
竹門康弘)