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 アユの餌として好適な珪藻類があるのではないでしょうか。
 かつて出水後のきれいな石の表面上にいわゆる新アカが繁殖しているのを検鏡したところ、殻長10mmμm程度の付着珪藻(nNitzschia frustlum)が優占だったと記憶しています。非常にはがしやすく、アユのハミ跡もありました。
 一方下流の水質のやや悪い所(β-中腐水性水域)の珪藻は、量は多いもののはがしにくく、比較的大型の珪藻が多かったと記憶しています。
 前所のアユは大きいものは小型ではあるが繁殖力の強い(殻も薄いので消化によいのでは)珪藻を食べているためであり、後者のアユは量は多いものの食べにくいから珪藻を食べているので小さいのでは、と当時思いました。4半世紀以上前の学生時代に卒論がらみで調べた遠い記憶ですのであてにならないかもしれませんが。

 良く珪藻のことをご存知のことと推察します。アユの餌となる付着藻類の種類組成は、流速や水質などの環境要因だけではなく、魚や水棲昆虫などの摂食の影響によっても変化し、アユの放流密度の高い川では、小型の珪藻や糸状の藍藻などの、再生速度の速い藻類が優占的になるのではないかとの推測は、次第に確かなものになりつつあるようです。
 しかし、なぜそうなるのかの理由は未だわからないこともたくさんありますし、すべての川で同じことが起きているようではないようです。天竜川の付着藻類の生活を決定する要因が川の環境であるのか、アユの密度であるのかを明らかにすることも、これからの私たちの仕事のひとつです。

(名古屋女子大学家政学部教授・村上哲生)
(名古屋女子大学家政学部教授・村上哲生)

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