濁水軽減について説明が少ないのではないでしょうか?
佐久間貯水池は、天竜川のなかでも貯水容量も大きく、濁水長期化等、水質変化への影響が懸念されています。佐久間貯水池における濁水長期化の主たる原因は、洪水時における上流からの濁水流入です。佐久間貯水池の水理特性は、年回転率(年間総流入量/総貯水容量)が16.1(平成17年)~34.4(平成22年)であること、鉛直的な水温分布に関する年間の調査結果(図-1.1)から、中間型から混合型の貯水池と判断されます。
中間型から混合型の貯水池では、水温成層が春期から秋期にかけて表層から底層にかけて形成され、拡散した濁水は濁質の移流・沈降によってのみ逓減していきます。佐久間貯水池は貯水容量も大きいので、沈降効果も大きいのですが、それでも上流からの濁水が細かいので、なかなか沈降しません。このため、水質(濁水)改善対策は、貯水池の流動制御により沈降を促進する方法が適しているものと考えられます。
流動制御方法としては、いくつかの貯水池で実績のある「濁水防止膜」の採用が考えられます。「濁水防止膜」は洪水時あるいは濁水発生箇所に対する湖内の水質改善に対処するものであり、規模は小さいものの実績もある方法です。濁水軽減として汚濁防止膜による現地試験を行っております。
今後はホームページを通じて試験の様子および結果についてお知らせしていく予定です。
(電源開発株式会社・喜多村雄一)