第23回天竜川天然資源再生連絡会

日 時

平成27年6月24日(水)13:45~16:30

場 所

天竜川漁業協同組合2階会議室

出席者

たかはし河川生物調査事務所:高橋農学博士、間野(アイノ)主任研究員
中部大学     :村上教授
京都大学     :竹門准教授
天竜川漁協    :鈴木(修)総務委員長、今場総務副委員長、
          鈴木(長)業務副委員長、中谷理事、谷高事務局長、
国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所調査第一課:吉田課長
電源開発(株)
茅ヶ崎研究所   :喜多村シニアエキスパート、
中部支店     :野々村副支店長、斎藤支店長代理(浜北区駐在)
          用地G:戸田グループリーダー、菅原、
          佐久間発電所:金山(浜北区駐在)
(株)JPビジネスサービス社会環境部環境防災システムG
         :小林グループリーダー

目 的

  1. 活動報告
    1. 竹門准教授
    2. 村上教授
    3. 間野研究員
    4. 高橋農学博士
    5. J Power
  2. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所調査第一課長 吉田光則さまより
  3. 連絡会「報告書」とりまとめについて
  4. ホームページ「まるっと天竜川」更新の報告
  5. 河床洗浄ポンプの作業効率化への提案の有無
  6. その他

内 容

竹門康弘准教授

  • 置土による産卵場造成実験について、前回報告以降、評価を進めた点についての結果報告及び今年度計画の報告が行われた。
  • 置土造成時に土砂が流下する距離は数十mと確認できたが、出水によりどこまで流下したかは未確認のため、今後、調査していくとの報告が行われた。
  • 平成26年実施の実験について、清水域を創出できたが、持続時間が短く、環境改変も大きいことから、抜群の評価とは言い難いとの見解が示された。
  • 堆積傾向にある箇所と浸食傾向にある箇所のどちらで、産卵床が形成され易いのかを、今年、高橋農学博士との共同調査で検証したいとの計画が示された。
  • また、今回検証によって、環境改善に有用な置土造成地の選択基準を作成できるとの考えが示された。
  • 今年の産卵床造成実験では、河川内に築堤を造成するのではなく、砂州内を掘削することで湧水環境及び柔らかい瀬を造成したいとの計画が示された。

村上哲生教授

  • 5月に実施した河床清掃の効果についての分析結果報告が行われた。
  • 清掃前よりも清掃後の方が、礫の付着物に含まれる有機物量が少なく、かつ、水棲昆虫量も減少したとの報告が行われた。
  • 河床清掃は、糸状緑藻類や糸状珪藻類を礫から除去するのに有効であるので今後も実施すべきであるが、実施にあたっては、上流から下流に向かう方向のみで行うこと、清掃実施関係者以外への周知が必要との考えが示された。
  • 次回以降の河床清掃時の調査内容についての説明が行われた。調査は、清掃直後ではなく、時間をおいて実施すべきであるとの指摘が高橋博士よりあった。

間野研究員

  • 平成26年実施のアユの流下仔魚調査結果の分析結果報告が行われた。
  • 流下のピーク時期及び時間、流下量、産卵のピーク時期、産卵場所の推定についての報告が行われた。
  • 孵化した時点で既に卵黄を消費している個体が存在している可能性があるとの報告が行われた。
  • 船明ダム上流へ遡上したアユは再生産に寄与していないと考えられるとの報告が行われた。
  • 一方で、調整池を海に見立てて再生産している個体が確認されていることから、その様な個体による再生産を活用することで資源量を増加できる可能性があるとの説明が行われた。
  • 江の川での魚道封鎖によるアユの再生産への取り組みが高橋博士より紹介された。

高橋勇夫農学博士

  • 天然アユを増やすための対策及び事例についての報告が行われた。
  • アユを増やすためには流下量を増加させる必要があり、そのために実施すべき親アユを増加させるための方策が紹介された。
  • 奈半利川での禁漁・漁法制限によるアユ量確保の成功事例が紹介された。
  • 禁漁・漁法制限によるアユ量確保の取組みは、関係者から理解を得るのが難しいため、条件付きにするなど、うまく折り合いをつけて行う必要があるとの意見があった。

喜多村雄一

  • 今後のアユの濁水影響調査計画、船明ダム下流の流況と魚の行動の予備解析、環境要因と魚類生産性との関連性についての取り纏めなどの報告等が行われた。
  • アユの濁水影響調査については、結果として、DNAへの大きな影響が確認できていないので、もう3年ほど継続し、影響を見極めたいとの報告が行われた。
  • 平成26年の濁水影響調査は稚仔で実施したので、今年は成魚(雄)で行いたいとの計画が示された。
  • また、次世代シーケンサーを用いて、DNAマイクロアレイを改良したいとの計画が示された。
  • アユの行動シミュレーションによって、船明ダム下流の洗掘対策工事後は、現在よりもアユが魚道を遡上することが予想できたが、今後、実際の調査で確認していきたいとの報告が行われた。
  • 環境要因と魚類生産性との関連性をとりまとめてみたので、意見を基に修正していきたいとの説明が行われた。
  • 濁水影響調査及びシミュレーションの作成について、最終目標を何として取り組んでいるのか、研究の筋書きが見え難いとの指摘が、竹門准教授よりあった。

国土交通省:吉田課長

  • 河川水辺の生物調査によって確認できたカワウの繁殖地(速報値)が紹介された。

ホームページ「まるっと天竜川」更新の報告

  • 更新状況の報告及び情報提供をお願いした際の協力依頼があった。

河床洗浄ポンプの作業効率化への提案の有無

  • まずは、定性的な効果を見極めるため、次回の河床洗浄作業に連絡会で参加することとし、洗浄作業は7月6日(月)AM、洗浄後調査は7月15日(木)に実施を予定することとした。